内科・泌尿器・神経内科・整形外科

24.内科・泌尿器・神経内科・整形外科

 高齢者の疾患の特徴の一つとして、「多病」ということがあります。自前でつくった、居宅療養管理指導や訪問看護指示書、特別訪問看護指示書、診療情報提供書などの書類作成用のデータベースでは、疾病欄が6つとってあるのですが、それが一杯になることもあります。今回は、4つの科に通院していた方が訪問診察になった話です。

 杉本万千子さん(仮名)は某老人施設で生活されております。その施設には以前より訪問診察に行っており、そこの指導員から家族の了解の元、訪問診察の依頼がありました。

行く前に前医からの診療情報提供書3枚が取り寄せてありました。泌尿器科からは、低活動性の神経因性膀胱という病名が、神経内科からはアルツハイマー型認知症、内科からは、うっ血性心不全、高血圧、右大腿骨頚部骨折術後の病名がありました。その他整形外科にも通院していましたがそこからは診療情報提供書はいただけませんでした。内服薬からみると骨粗鬆症・便秘症が病名のようです。病名は7つになります。私のデータベースではあふれてしまう病名数です。また一時期は精神科にもかかっており、その時はなんと五つの科にかかっていたことになります。精神科は卒業できたようですが、残りの四つの科には通院していました。認知症と大腿骨頚部骨折後の歩行障害もあり、通院には付き添いが必要ですし、四つの科にかかるのは本人の負担も大きいということで訪問診察の依頼になったわけです。四つの科からは合計で10個の薬剤が処方されていました。

泌尿器からの診療情報提供書では、現在内服のみにて経過良好なのでフォローアップお願いしますとのことでした。ベサコリン散、エブランチル、ウブレチドが処方されていましたが現在はベサコリン散のみ処方しています。ベサコリン散も膀胱内圧曲線を行い必要かどうかチェックしたいところです。神経内科からは時に妄想がありセレネースでコントロールされ、よろしくとのことでした。セレネースは中止にしましたが妄想の再燃はありません。内科からは心不全・高血圧はコントロール良好で、今後のご加療お願いしますとのことでした。血圧が時に108/40と低めでフロセミドのみとなりました。現在は6種類の内服です。私のsubspecialは老年医学と神経内科です。高齢者によくみられる疼痛疾患に対応しようと整形内科(外科ではない)をかじり、神経疾患でよく見られるために、神経因性膀胱のマネジメントをかじっていたのでこの四つの科に通院していた杉本さんの訪問診察に私への指名があったというわけです。

  高齢者の場合、この方のように複数科にまたがる「多病」をもたれることもあり在宅医としてはある程度カバーできることが必要です。無論、「生兵法は怪我のもと」ということにならないように、フィードバックとして常に専門医へのコンサルトの時期を考えていることが前提ですが。


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