訪問診察依頼あれど、始まらずそのまま中止(2)

30.訪問診察依頼あれど、始まらずそのまま中止(2)

クリニックに訪問診察依頼があっても、結果として訪問診察が開始にならなかった方々の2回目です。

2.外来でみていた先生が、通院が困難になってきたようだからと気を回して訪問診察を依頼してくださったのですが、患者さんや家族に十分説明しておらなかったのか、こちらから訪問診察にお伺いしますと電話をかけると「訪問診察はいらない」といわれたことがあります。こちらは,依頼があればすべて断らずに引き受けようという姿勢でいますが、患者さんのほうから断られてしまったら打つ手がありません。依頼してくださった医師にその旨を連絡して終わりです。訪問診察は単なる通院困難の代替手段ではないと考えています。

3.大腿骨頚部骨折術後で認知症もあり、いろんな訴えで不定期に病院に来るということで、通院も大変だし往診で対応してもらえないかという依頼がありました。こちらから電話をかけて○○先生から頼まれて今度往診にお伺いするようになりましたがと話し、向こうからいくらかかるかというのでおおよその負担金をいうと、そんな高いのならいらないと言われたことがあります。その後、同様のことが繰り返されるために再度往診依頼があり今度は訪問診察につながった方がいます。その後、薬がない、今度いつ来るのか、足が痛いなどなど頻回に電話がかかってきましたが随時の往診と電話を受けた職員の対応で今は落ち着いています。月に一度訪問時に医療費の請求をお願いすると「あ、そうけ、いくらけ」といって高いとはおっしゃらずに支払ってもらっています。

4.さあ、初めての訪問診察だという当日の朝に自宅で転倒して、大腿骨々折をおこして入院となりそのまま在宅の戻れなくなった方。Fさんは73歳の男性です。脳梗塞を3回おこしましたが何とか外来通院されていました(他院)。また結核後遺症による慢性呼吸不全があり在宅酸素療法もしています。いよいよ通院困難となり訪問診察依頼がありました。段取りを整え初回訪問診察の日を決めて家族に連絡しました。が、当日の朝です。家族から電話がかかってきて転倒して動けなくなっているとのことです。骨折が強く疑われ以前通院していた病院に救急搬送されました。大腿骨頸部骨折を起こしておりそのまま入院になり訪問診察は開始されませんでした。

5.午後に初回の訪問診察に行くことになっていたHさん。89歳という高齢の女性で依頼医からの情報では消耗状態という診断でした。そのHさんが、なんと当日のお昼の12時50分に自宅でなくなられたと連絡がありました。急遽訪問中止としました。

訪問診察依頼があっても結果的には訪問診察に至らない理由もいろいろあるなあと今回まとめて実感しました。


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