訪問診察に出かけるときは、当然靴を履いていきますが、患者さんの所へ着くと靴を脱ぎます。その後は、靴下のままであがる(裸足のことはない)か、用意されたスリッパを履くか、マイスリッパを履くか、靴を脱がずにあがるかの4通りがあります。今回は訪問診察時に足の裏に感じた違和感のお話です。
一番多いのは靴下のままで上がることですが、困ったことが起きることがあります。Aさんは、いつとはなく閉じこもりになり歩行障害や失禁も出てきて家族は何とかしなければと思ったのですが、本人は病院に行くのは絶対にいやだと言い張りました。困り果てた家族が相談に来て、それでは往診しますということになりました。初回訪問し玄関を開けると尿臭がしてきます。スリッパがなかったのでそのままあがり部屋に入ります。炬燵に横になっていたので近づくと足の裏に湿気を感じます。布団をめくろうとすると布団もしっとりです。すわるとズボンまでしっとりしそうなので座らず診察します。その後訪問診察の車に戻り予備の靴下に履き替えます。
それではスリッパを履けば大丈夫かというとそうでもありません。ある施設に行ったときのことです。備え付けのスリッパに履き替えると靴下をとおして水分がしみてきます。水分の成分は分かりませんが水道水でないかもしれません。体内から出た水分の可能性もありますが訪問診察が終わるまではじっと我慢です。その後訪問診察の車に戻り予備の靴下に履き替えます。またあるお宅にお伺いしたときのことです。きっちりとスリッパを用意してくださっているのですが履くと水分を感じます。これは、家人がきれいにしてくださった結果だろうと思いました。つまり水道水です。患者さんが寝ている部屋は、自分でおむつ交換をするために大便がカーペットに着いていたりするのでそのスリッパを脱ぐわけにはいきません。湿り気を感じながら診察します。2週間後に再び訪問したときはスリッパを履くのをためらいました。が、そっと履いて体重を徐々にかけ湿り気を感じないことを確認したのち全体重をかけました。
次はマイスリッパです。Bさんは日中独居の方です。玄関は上がりかまちになっていますが、上がろうとする床面は、玄関のたたきと同様、砂と小石でざらざらしています。家の外も中も同じような感じです。一瞬、靴のまま上がっても同じだなと思ってしまいますが、同行の看護師さんがお手製のスリッパを差し出します。足形に切った薄ボール紙に両面テープがつけてあります。それを靴下にうまく貼ってから上がります。ボール紙を通して小石を踏む感じや砂のざらざらした感じがします。
最後の、靴を脱がずに上がることはありません。ある有料老人ホームではお部屋までは靴のまま行きますが部屋の中は靴を脱ぎます。
ちなみに、訪問看護ステーションの看護師に聞くと、底がナイロン製で水がしみこまない浅でのソックスのようなものを履いて訪問しているとのことでした。市販品ですが残念ながらそれはMサイズしかないとのことでいつもの通りのやり方で訪問しています。皆さんはどうしておられますか。