老老介護 二人合わせて200歳

43.老老介護 二人合わせて200歳

今回は二人合わせて200歳のご夫婦の話です。今まで訪問診察にお伺いした高齢者2人世帯の中では断トツ最高齢です。
基井桐子さん(仮名)は今年で101歳です。夫の志功さんは99歳です。お二人は専門は違いますが国文学者です。志功さんは、以前高血圧で私の外来に通院されていましたが、少し遠方なので近くの内科医院に転院されました。

その後も頭痛、ふらつきなど神経内科疾患が疑われたときには私の外来に時々みえておられました。桐子さんが低ナトリウム血症による意識障害で入院しその後転倒骨折などもあり廃用が進み発語なく食事摂取量は少なめでしたが在宅療養を希望されました。少し遠方なのですが是非にというありがたいご指名で訪問診察が開始になりました。始めて訪問したときは、二つ並んだベッドの周りは天井まで届く本棚でぎっしりと専門書がつまっているのをみて学者夫婦の家だなと感心しました。
桐子さんは要介護5です。訪問診察では、寝ている方は座ってもらい、座っている人は立ってもらい、さらに歩いてもらうことにしています。太田仁史先生は終末期リハビリテーション 攻めるも守るもこれ一戦と称して歩行能力を重視しています。桐子さんは寝返りもうてないのですが、手引きでなんとか2メートルほど歩けます。寝ているときとは表情も違います。桐子さんは私をみると「お世話になります、ありがとう」と何度も話されます。訪問看護と訪問介護のサービスが入っていて在宅生活をささえています。99歳の夫はすこし斜頚ぎみ(90台後半の男性には斜頚が多い??)ですが畳からの立位も素早くすこぶる元気です。訪問すると必ず読書をされているか文章をかかれています。学者として生涯現役です。こちらは知らず知らずのうちに尊敬の眼差しです。志功さんは姉さん女房の桐子さんをいとおしむ様に見守っています。熱がでたとか、痰がごろついているとか、心配な現象があると私の携帯電話がなります。
桐子さんの強みは食べることです。ペースト状の食事をしっかり食べられます。「熱が出ようと咳がでていようと食べてさえいればまあ、あわてることはありませんよ」と、基井さんに限らず介護者によく話します。映画評論家の淀川長治さんは、チャップリン映画の解説で「チャップリンは、食べますね、食べますね、食べますね。これが力の元なんですね」と話されていたのを思い出します。


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