百寿者近年まれならず

2011年9月8日の 『北陸中日新聞』の夕刊の記 事によりますと、2011 年9月15日時点での石川 県内の百歳以上の長寿者は 559人で、2011 年度末までに773人 に上る見通しとのことでし た。 今回は、私どもが訪問し ている100歳以上の高齢者の お話です。2011年の1 年間で訪問診療を行った100 歳以上の方は7人で、最高 齢は108歳でした。うち、 自宅で療養中の方は2人、 有料老人ホームが2人、グ ループホームが1人、いわ ゆるロングショートの方が2人です(この方たちは診 療上は訪問診療ではありま せんが・・・)。県内の100 歳以上の方の1%になりま す。 この7人の方は、生活自 立度はAが2人、Bが3人、 Cが2人でした。認知症自 立度はⅠが2人、Ⅱが2人、 Ⅲが4人でした。やはり、 訪問診察の対象だけあって 自立度の低い人が多いです が、認知症も軽く、日常生 活がほぼ自立している方も 2人おられました。 平均余命というのがあり ますが、日本人の100歳の女 性のそれは3年です。つま り100歳の日本人の女性の半 分が生き残っているのは3 年ということです。私たち が訪問している7人の方 は、1年以内に4人亡くな りました。また、現時点で は1人の方が、さらに亡く なられました。平均より短 いのは当たり前ですね。が、 2012年に新たに100歳以 上に仲間入りする方も3人おられます。

最高齢の方は2011年 で108歳の大村ハマさん (仮名)です(実はつい最 近109歳になりました)。 大村さんの訪問診察に行き 始めたのは、1999年6 月1日です。かれこれ13 年になります。大村さんは、 当初は息子さん夫婦と孫夫 婦と一緒に暮らしていまし た。息子さん夫婦は、相次 いで亡くなりました。100歳 もの超高齢になると、息子 世代のほうが先に死んでし まうこともまれではないよ うです。99歳の白寿の 時に、お孫さんと訪問看護 師さん、私と同行看護師で お祝いしてから10年になり ます。訪問診察時には食欲 を必ず聞くのですが、大村 さんに「食欲はどうですか」 と聞くと、大きな声で「あ る、あーる」と語尾上がり の抑揚をつけて話されま す。108歳の時に肺炎にな り、ぐったりとしたときに はさすがに「食欲はどうで すか」と聞いても、いつも の「ある、あーる」の声が 出てきません。これは重症 だと看護師ともども思い、 点滴と抗生剤、酸素吸入な どを入院せずに行いまし た。幸い、しばらくすると 以前より小さい声ながら 「ある、あーる」の声が聞 けるようになり、これでも う大丈夫だと思いました。 どんな検査所見より、的確 な臨床指標になっていま す。 正確には分かりません が、県内の最高齢者は、能 登町の112歳の女性のよ うです。上には上がいるも のです。大村さんもいずれ はと密かに思うのですが、 そんなことより「ある、あー る」の声を聞き続けたいと いう気持ちで一杯です。

城北クリニック 院長  大川 義弘

 

 


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